はじめに
資産形成、自分年金を目的として投資を始めて1年半ほどですが、自分年金のための投資で高配当もしくは増配の米国ETFは何かいいものはないか探しています。
(私の資産形成の方針はこちらの投資はじめて1年の振り返りにまとめています。)
最近は、国際分散の観点から新NISAで買える米国以外の高配当もしくは増配ETFがないか探しています。米国は投資先として良い国ですが、この先ずっと20年30年と米国が良いかはわからないので、サテライトになりそうな米国以外のものも考えています。
今回は、欧州へ投資するETFのVGK(正式名称:Vanguard FTSE Europe ETF)について調べてみました。
こんな人の参考になれば幸いです。
・米国以外への投資を考えている方。
・ヨーロッパへ投資するETFを探している方
調べた事から、個人的には次のようなETFだと感じます。
・経理率は0.11%と安い。
・これ1つでヨーロッパの先進国17カ国全体に投資ができる。
・ここ10年の株価の成績は、1.6倍ほどで全世界株と比べるとパフォーマンスに劣る。
・株価の値動きは、全世界株とほぼ同じ。
・分配金利回りは3%を超えており、高分配と言える。
・一方で、分配金の変動は年によってプラスにもマイナスにも動く。
・設定来での増配率は、1.37%とあまりない。
以上から過去の株価の成長はおいておいて、ヨーロッパに投資したいと考える場合は、良さそうなETFです。また、増配率はあまりないですが分配金利回りは高いので、安い時に買ってより高分配金利回りにして分配金を得るというのがいいのかなと思います。
こちらは過去の実績を調べた結果をまとめたもののため、将来の成績を保証するものでありません。投資は自己責任になりますので、その点はご承知おきください。
では、調べた詳細な結果を見ていきましょう。
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VGKについて
概要
VGK(Vanguard FTSE Europe ETF)は、欧州市場の普通株式を投資対象とし、FTSE欧州先進国オールキャップ・インデックスに連動した投資成果を目指すETFです。
FTSE欧州先進国オールキャップ・インデックスは欧州先進諸国の株式市場のパフォーマンスを測定するもので、対象国としてオーストリア、ベルギー、フランス、スイス、イギリスなど17カ国が含まれる。(楽天証券より)
販売会社:Vanguard
設定日:2005年3月4日
純資産総額:17,823(百万米ドル) (2023年9月30日時点)
経費率:0.11%
構成銘柄数:1314社
分配金利回り:3.4%(2023年9月30日時点の直近12ヶ月)
決算月:3, 6, 9, 12 (年4回)
(VGK 2023年9月30日時点ファクトシートより)

バンガードのETFということで、経費率が低いですね。
利回りが3.4%ということで、分配金利回りは高いです。
設定から18年以上経っており、純資産総額も約18億米ドルと大きく流動性は従分あると言えるでしょう。
構成銘柄数が1314社あり、十分分散されていると言えます。
組入条件
概要で記載したように『欧州市場の普通株式を投資対象とし、FTSE欧州先進国オールキャップ・インデックスに連動した投資成果を目指すETF』なので、ヨーロッパの先進国市場の普通株式を投資対象としています。大企業、中小企業の株式なっています。

ヨーロッパの先進国市場をまるっと含まれていると考えればよさそうです。
これだけで、ヨーロッパの先進国全体に投資ができると言えます。
構成セクターと銘柄(VGK 2023年9月30日時点ファクトシートより)
組入市場
組入国は次の17カ国です。
オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、
ドイツ、ギリシア、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、
オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、
スイス、イギリス
そのうち、組入市場上位10カ国はこんな感じです。
国 | 割合[%] | |
1 | 英国 | 24.8 |
2 | フランス | 17.0 |
3 | スイス | 14.4 |
4 | ドイツ | 12.5 |
5 | オランダ | 6.1 |
6 | スウェーデン | 5.1 |
7 | デンマーク | 4.8 |
8 | イタリア | 4.3 |
9 | スペイン | 4.1 |
10 | フィンランド | 1.8 |
この割合を足すと94.9%で、これらの市場(国)がほぼ全てを占めると言えます。
ちなみに、上位5カ国を足すと、74.8%で全体の約3/4を占めます。

英国だけで約25%を占めるので、英国の状況がVGKに与えるように思われます。
構成セクター
ファクトシート(2023年9月30日時点)に記載のある構成セクターをグラフにまとめるとこんな感じです。

No. | セクター | Sector | 比率 |
1 | 金融 | Financials | 17.60% |
2 | 資本財・サービス | Industrials | 16.90% |
3 | エネルギー | Energy | 6.50% |
4 | 基本素材 | Basic Materials | 5.40% |
5 | テクノロジー | Technology | 7.10% |
6 | ヘルスケア | Health Care | 15.40% |
7 | 一般消費財・サービス | Consumer Discretionary | 12.80% |
8 | 生活必需品 | Consumer Staples | 10.20% |
9 | 通信 | Telecommunication | 2.60% |
10 | 不動産 | Real Estate | 1.7% |
11 | 公益事業 | Utilities | 3.8% |
円グラフを見る感じだと、それなりにセクター分散されているように見えます。
金融、資本財・サービス、ヘルスケアが上位3セクターですね。
金融、資本財・サービスは景気に敏感な好景気の時に強いセクターですね。
逆に、ヘルスケアはディフェンシブな不景気にも強いセクターです。
構成銘柄
VGKの保有上位10銘柄は次の通りです。
銘柄 | 構成比率[%] | 概要 | ||
1 | Nestle SA | ネスレ | 2.8 | 食品・飲料会社 |
2 | Novo Nordisk A/S | ノボ ノルディスク | 2.7 | グローバル製薬企業 |
3 | ASML Holding NV | ASML | 2.2 | 半導体製造装置メーカー |
4 | Shell plc | シェル | 2.0 | 石油・天然ガス等のエネルギー関連事業を展開する多国籍企業 |
5 | Novartis AG | ノバルティス | 2.0 | 製薬・バイオテクノロジー企業 |
6 | AstraZeneca plc | アストラゼネカ | 1.9 | グローバルなバイオ・医薬品企業 |
7 | Roche Holding AG | エフ・ホフマン・ ラ・ロシュ | 1.8 | 製薬・ヘルスケア企業 |
8 | LVMH Moet Hennessy Louis Vuitton SE | モエ・ヘネシー・ ルイ・ヴィトン | 1.7 | ファッション業界大手企業体 |
9 | HSBC Holdings plc | HSBCホールディングス | 1.4 | 商業銀行を主体とする世界最大級のメガバンク |
10 | Total Energies SE | トタルエナジーズ | 1.4 | 国際石油企業 |
自分は企業名に詳しいわけではないですが、ネスレ、シェル、ノバルティス、アストラゼネカ、
ルイ・ヴィトン、HSBC、トタルエナジーと知っている企業が入っています。
ネスレ、シェル、ルイ・ヴィトンはとてもよく知られている企業だと思います。

上位企業のセクター(分野)を見るとあまり偏りはないように思います。
運用実績
2012年からのチャートを、全世界と比較という点で全世界ETFのVTと比較するとこんな感じです。またVGKは米ドルで売買されていますが、欧州の多くの国ユーロを使っているので、ユーロと米ドルの為替も合わせて同じチャートに表示しています。

赤・緑:VGK、黄色:VT、紫:ユーロ/米ドル
全世界ETF VTと比較するとこのうに感じます。
・2012年から2016年くらいまでは、VTと同等の成績。
・2016年以降くらいからVTに比べて成績が劣る。
・2023年12月現在、VTは2012年から2倍以上になっているのに対し、VGKは1.6倍ほど。
・値動きの傾向はVTと同じ動きをする。
また、ユーロと米ドルの関係から、次のことが言えそうです。
2015年以降くらいから、なだらかに米ドル高、ユーロ安になっており、その点からもVTと成績を比較した場合に、劣る要因になっているかもしれない。
・ユーロが米ドルに対して高かった2012〜2014年くらいまでは、VGKの赤・緑の線が、VTの黄色の線の上にある。
・ユーロが米ドルに対して安くなってきた2015年辺りから、VTの黄色い線が、VGKの赤・緑の線の上にある。
以上から、次のことが言えそうです。
・値動きはVTと同じように動く。
・2023年12月現在では、VTの6割くらいは米国株なので、値動きは米国株と同じように動くと思われる。
・VTと比べるとパフォーマンスは劣る。つまり、米国株にはさらに劣る。
・多少なりともユーロと米ドルの為替の影響はありそう。
分配金
実績
設定以来の分配金の推移はこのような感じです。
年 | 分配金[米ドル] | 増配率[%] 前年比 | 分配金利回り [最安値ベース] | 分配金利回り [最高値ベース] |
2005年 | 1.38000 | 0.00% | ー | ー |
2006年 | 1.80900 | 31.09% | ー | ー |
2007年 | 2.35600 | 30.24% | ー | ー |
2008年 | 2.90100 | 23.13% | ー | ー |
2009年 | 1.91200 | -34.09% | ー | ー |
2010年 | 2.30600 | 20.61% | ー | ー |
2011年 | 1.90800 | -17.26% | ー | ー |
2012年 | 1.46900 | -23.01% | 5.15% | 4.01% |
2013年 | 1.62900 | 10.89% | 4.69% | 3.72% |
2014年 | 2.42100 | 48.62% | 6.42% | 5.28% |
2015年 | 1.62200 | -33.00% | 4.33% | 3.62% |
2016年 | 1.68700 | 4.01% | 4.95% | 4.18% |
2017年 | 1.59860 | -5.24% | 4.11% | 3.22% |
2018年 | 1.92010 | 20.11% | 4.74% | 3.61% |
2019年 | 1.91850 | -0.08% | 4.63% | 3.64% |
2020年 | 1.27360 | -33.61% | 3.91% | 2.27% |
2021年 | 2.08100 | 63.40% | 3.84% | 3.17% |
2022年 | 1.80220 | -13.40% | 4.14% | 2.71% |
2023年 | 1.57210 | ? | ? | ? |
2023年の分配金情報は、2023年12月2時点での情報です。
分配金利回りは各年の最高値と最安値の値段で、分配金からそれぞれ計算しています
ただし、株価が見つからなかった2011年以前の分配金利回りは計算できませんでした。

増配率
分配金の増配率は、設定以来で見ると、年平均1.58%となります。
増えているないわけではないですが、あまり増配には期待できないような感じです。
ユーロ対米ドルは近年ユーロ安なので、その影響もあると思われます。
これが、今後も続くと仮定して、分配金の増加を見てみるとこのようになります。


20年後で1.37倍で、増配はあまり期待できずとですね。
戦略としては、株価が安い時に購入して、株価が上がったときに高利回りになるのに期待と言ったところかと思います。
また、直近3年、5年、10年、15年の平均増配率はこんな感じです。
分配金増配率 | |
直近3年平均 | 97.94% |
直近5年平均 | 102.43% |
直近10年平均 | 102.07% |
直近15年平均 | 98.23% |
設定以来平均 | 101.58% |

やはり、増配はあまり期待できない感じです。
増配率がマイナスになる場合もあり、分配金があまり安定しない印象です。
さいごに
ヨーロッパの先進国全体に投資できるVGKについて調べてみました。
まとめると、次のようなETFということが言えると思います。
メリット
・ヨーロッパの先進国全体に分散投資ができる。
・経費率は0.11%と低い。
・純資産総額が18億米ドルと大きく、流動性は十分あると言える。
・2023年12月現在、分配金利回りは約3.4%あり、高配当。
デメリット
・設定来約18年で約160%。ただし、全世界株には成績が負ける。
・増配はあまり期待できない。増配率は設定来1.5%程度。
期間の取り方によっては、増配率がマイナスになることもある。
その他
・ポンド・米ドルの為替相場が価格、分配金の額に影響すると思われる。
・分配金利回りは高いが、増配はあまり期待できないので、価格が下落している時に、
購入し、分配金利回りが少しでも高くなるようにすると良いと思われる。
以上のことから、メインで投資するというよりは、米国以外の投資先としてヨーロッパ先進国に投資する場合の候補になると思います。分配金は増配しないため、分配金目当てで投資する際は、株価が下落しているタイミングを狙う必要があると思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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